各地の女神&男神より

女性杜氏の日本酒ばなし(3)

広島発 吟醸酒誕生の地の女神

 

季節のお酒「ひやおろし」

 そろそろお酒売り場やお酒屋さんでも「日本酒がおいしい季節になりました」というポスターやチラシを見かけるようになりました。
 昔から、秋は日本酒が美味しくなる季節として知られ、美味しくなったお酒を指す「秋あがり」とか「ひやおろし」という言葉が使われています。
 何を肴にしようかと考えるのも楽しい季節ですね。
 醸造酒であるお酒は、時間とともに熟成していきます。
 新酒のみずみずしい香りから、しっとりと落ち着いた香りへ。まろやかな味わいへ。
 色もうっすらと黄金色かかってきて、まるでこの頃、稲刈りを迎える田んぼの色とつながっているようですね。さすがお米のお酒!
 季節を越えることで熟成する日本酒ですが、私はこのお酒の熟成には、ちょっとしたミステリーがあると思っています。
 それに気づいたのは、もう10年以上前のこと。青森の友人が5年ほど自分の冷蔵庫で貯蔵していたうちの酒を飲んだときのことです。
 最初の一口を飲んだとき、とても感覚的には俄かには信じがたいことのようだけど、そのお酒の味わいはその友人の素朴で温かい人柄そのものでした。そしていかにこのお酒を大切に扱ってくれたかが舌を通して伝わってきました
「??? これ何だろう? うちにあるのと全然ちがう!」
 熟成の良し悪しは、温度や環境によってかわってきます。日本酒は通常5度程度の冷蔵庫で保存すること失敗しません。
 それを守って、さらにそんな数字だけじゃない「何か」も熟成には関係があるような気がするんです。
「お酒は人柄に似る」。
 このことって我々醸造家だけの話じゃないかもしれません。